zillagodのブログ

国内旅日記 ~自転車旅・登山・徒歩旅行~

【感想文】「行かずに死ねるか!ー世界一周9万5000km自転車ひとり旅」(石田ゆうすけ)

 この本は、自転車で世界一周の旅をした著者が、その旅で見たこと、感じたこと、触れたことについて、一冊にまとめたものである。

 以前から読んでみようと思っており、たまたま近所の図書館で見つけたので読んでみた。 

行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫)

行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫)

 

 

 文体はフランクで、著者の人柄が伝わってくる。第一印象は、「自分とはウマが合わないタイプだな。普段だったら」であった。本によると、著者は旅に出る前、いわゆる大企業に勤めており、そこで営業職に就いていたようだ。本の記述内容から察するに、バリバリのステレオタイプの営業マンであったようである。コミュニケーション力に長け、文章からもそれが滲み出ている。

 これに対して、私はといえば、典型的な根暗エンジニアだ。どちらかといえば、人と関わるよりも、黙々と作業に徹するタイプである。コミュニケーションに自信はない。 

 普段の社会生活の中でもし出会っていたら、絶対に波長を合わせることはないだろう。そう、普段だったら。

 では、旅先でもし出会っていたらどうだろう。私も旅人の端くれである。この本からは旅をすることの楽しさ・喜び・苦労がありのままに書かれている。その内容は、魅力的で、とてもスケールが大きいが、共感するところは非常に多い。それどころか、すべて違和感なく入り込んでくる。実際に著者に会ったことはないが、旅先で出会っていたならば、印象は180°違っていただろう。

 また、タイトルには「ひとり旅」とあるが、全然ひとりではない。旅先で数多くの人たちと出会い、触れ合っており、非常にドラマチックだ。著者の人柄の成せる技であろう。

 著者は他にも世界一周の旅に関する著書を出している。それらを読んでみたいというよりは、「どんな小さくてもよいので、旅に出てみたい」、読後はそんな気分になる。旅人の琴線に触れる本である。