この本は、自転車で世界一周の旅をした著者が、その旅で見たこと、感じたこと、触れたことについて、一冊にまとめたものである。
以前から読んでみようと思っており、たまたま近所の図書館で見つけたので読んでみた。

行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫)
- 作者: 石田ゆうすけ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 文庫
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文体はフランクで、著者の人柄が伝わってくる。第一印象は、「自分とはウマが合わないタイプだな。普段だったら」であった。本によると、著者は旅に出る前、いわゆる大企業に勤めており、そこで営業職に就いていたようだ。本の記述内容から察するに、バリバリのステレオタイプの営業マンであったようである。コミュニケーション力に長け、文章からもそれが滲み出ている。
これに対して、私はといえば、典型的な根暗エンジニアだ。どちらかといえば、人と関わるよりも、黙々と作業に徹するタイプである。コミュニケーションに自信はない。
普段の社会生活の中でもし出会っていたら、絶対に波長を合わせることはないだろう。そう、普段だったら。
では、旅先でもし出会っていたらどうだろう。私も旅人の端くれである。この本からは旅をすることの楽しさ・喜び・苦労がありのままに書かれている。その内容は、魅力的で、とてもスケールが大きいが、共感するところは非常に多い。それどころか、すべて違和感なく入り込んでくる。実際に著者に会ったことはないが、旅先で出会っていたならば、印象は180°違っていただろう。
また、タイトルには「ひとり旅」とあるが、全然ひとりではない。旅先で数多くの人たちと出会い、触れ合っており、非常にドラマチックだ。著者の人柄の成せる技であろう。
著者は他にも世界一周の旅に関する著書を出している。それらを読んでみたいというよりは、「どんな小さくてもよいので、旅に出てみたい」、読後はそんな気分になる。旅人の琴線に触れる本である。