zillagodのブログ

国内旅日記 ~自転車旅・登山・徒歩旅行~

旭川から岩見沢 神話と青空と旅人に思いを馳せて

2019年の旅 旭川から札幌

 2004年の北海道の旅は佳境に近づきつつあるが、ここで再び2019年の旅について書こうと思う。これまでも度々書いてきたが、この2019年の旅は、転職をした際にできたまとまった時間を利用しての旅であった。もっともこの転職の結果も今や混沌としたことになっているが。

 これまでも、度々ブログの中でも2019年の旅については触れている。帯広から始まり狩勝峠を越え、富良野・美瑛を経由し、旭川を訪れている。 

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 ここからは、旭川から札幌へ至った道中について書いていこうと思う。

 

旭川出発

 2019420日、帯広から始まった旅は旭川に到達していた。どこへ行くのかはあまり考えておらず、気ままに北海道を回っていた。4月下旬とはいえ、路肩にはまだ雪が残っているところもある。ここから北へ向かうことに気が引けてきて、南へ向かうことにした。

 旭川を出発し、国道12号線を進むことにした。滝川を抜けて南下し札幌へ向かうことにした。また、途中で夕張に立ち寄ることにした。

神居古潭 アイヌの神話に思いを馳せる

 旭川から約18キロメートル進むと、神居古潭(カムイコタン)と呼ばれるところに着く。ガイドブックには「1億年前の地層、奇岩怪石、美しい渓谷美」とあり、層雲峡のようなところを想像していた。非常に楽しみにしていたのだが、入り口には無情にも「通行止め」の看板があり、柵が立っていた。どうやらここも冬季休業のようである。

 カムイコタンとはアイヌ語で、「神の住む場所」である。その名の通り、アイヌの様々な神話・伝承にちなんだ巨岩や奇岩が数多くある。それだけでなく、付近には北海道指定史跡の「神居古潭竪穴住居遺跡」など、縄文時代の遺跡がある。神話の時代から人々が住んでいたのは間違いない。

 神話とは荒唐無稽な創作であると片づけられることが多い。しかし、持論だが、一見、荒唐無稽に見える内容であっても、どこかに話の原型となる事実が隠されていると思う。神居古潭は神話の伝承を直に見られる数少ない場所の1つだろう。しかし、このときの私には「通行止め」の看板の向こうにその思いを馳せることしかできなかった。

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神居古潭への道(吊り橋を渡れば行けるのだが)

深川から滝川

 神居古潭を過ぎてから、どうも体の調子が悪い。胸が締め付けられるような感じがする。疲れているのだろうか。晴れていた天気も雲が広がり、気温も低下し始めた。体調も急降下していく。長旅の秘訣の1つは無理をしないことだと思う。このときも無理をせずに滝川のビジネスホテルに宿泊し、一晩静養することにした。なお、この時期、北海道のキャンプ場のほとんどは冬季休業中である。4月下旬のGWから営業を始めることが多い。この年の旅も、まだキャンプ場には泊まっていない。これまで、安いホステルを利用してきた。これはドミトリーと言って、510人くらいの相部屋で宿泊する施設で、2000円くらいで泊まれるので経済的だ。また、シャワーやトイレ、炊事場が共同で、他の旅人とも交流するチャンスがある。初めは相部屋ということもあり、尻込みしていたが実際に利用するとどうということはなかった。

グライダーの舞う空

 翌日、胸の締め付けはなくなっていた。天気は快晴。相変わらず気温は低いは空気が澄んでおり、気持ちが良い。

 滝川市街のすぐ近くには石狩川が流れている。その石狩川の河原に行ってみる。ここには、「たきがわスカイパーク」という施設がある。ここ滝川は、スカイスポーツが盛んである。なんでも、1981年に集中豪雨による水害が発生した際、滝川市長であった吉岡清栄氏が、空から市内の被害状況をグライダーで視察したのが発端だったらしい。たきがわスカイパークには、格納庫を活用したミュージアムや、小型機の滑走路などがある、いわゆる航空公園である。グライダーの体験飛行などもできるらしい。ミュージアムは無料で、実際に飛行するグライダーを間近で見ることができた。

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スカイミュージアム

 外の滑走路では、小型機グライダーを引っ張って離陸する様子を見ることができた。青空と遠くに見える白い山並みを背景にグライダーが舞う姿は、美しい。その白い翼は、さながら自由の象徴に思えた。

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河原の滑走路

日本一の直線道路

 滝川から岩見沢市に入るまで、国道12号線は一直線になる。長さ29.2キロメートルの日本一長い直線道路だという。この道も元をたどれば、明治の開拓時代に囚人によって造られたものだ。札幌から旭川を結ぶこの道は、大変重要な交通路であったにちがいない。そして、現在でも、主要な幹線道路として機能している。それだけでも、歴史を感じさせる道路ではないか。

 しかし、当の道路はいわゆるバイパスであり、交通量が多い。北海道の直線道路と聞いて、広大な平野のど真ん中をどこまでも行く道路を想像すると、裏切られる。少なくとも自転車で走っても、直線を感じることはなかった。

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日本一の直線道路の碑

岩見沢のライダーハウス

 この日、岩見沢で初めてライダーハウスに泊まった。ライダーハウスとは、その名の通り、バイクや自転車旅行者を対象にした宿で、多くは相部屋で格安で宿泊できる。岩見沢の温泉「松の湯」に併設されたライダーハウスは、当然入浴もできるので非常に便利だ。ただ、この時期は凍結してしまうので水道が使えなかった。

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岩見沢のライダーハウス

 この日、自分以外に宿泊客はいなかった。部屋には、宿泊者が自由に書き込める、一冊のノートが置いてあった。この時期はやはり旅行者は少ないようだ。それでも何人かこのライダーハウスを利用した人がいるようである。寒い季節だというのに、彼らの書き込みは非常に活き活きとしている。彼らと出会う機会はあるだろうか。そう思わずにはいられない、一人の夜だった。