千歳から苫小牧
2019年4月23日、千歳市内。新千歳空港に近いこの街の近くには、航空自衛隊の基地がある。日中、ジェット戦闘機が空気を切り裂くような音とともに、市街地の上空を飛んでいるのを何度も目にした。普段、戦闘機など見る機会がない私にとっては珍しいものだったが、街の人々にとってはいつものことで気にする様子はまったくない。
この日はまず苫小牧方面に向かった。天気はどんよりしており、風が冷たい。途中、ウトナイ湖に立ち寄った。2007年にも訪れているが、そのときは夏の快晴。風景はまったく違って見えた。
前方には、路肩に残った雪を除雪している車両がのろのろ走っている。今年最後の除雪だろうか。自転車よりも速度が遅いので、歩道から追い抜くと、泥交じりの雪が飛んできて、もろに被った。
長く緩い登り坂のサイクリングロード
苫小牧からは北上し、支笏湖に向かう。苫小牧市街を少し離れたところから支笏湖までサイクリングロードが国道276号線と並行して伸びている。雨も降ってきており、通る者はいない。支笏湖まではひたすら緩い登り坂である。はっきり言って面白くない道だった。展望は良くないし、登坂は地味に鬱陶しかった。
支笏湖
支笏湖では、モーラップ樽前荘というライダーハウスに泊まる予定だった。このライダーハウスはネットでの評判も非常に高い。
支笏湖に到着した途端、ひょうが降ってきた。樽前荘の軒下に避難するが、中からは人の気配はまったく感じなかった。不安になってネットで調べると、どうやら予約が必要だったようだ。もう時刻は夕方。電話しても来てはくれないだろう。
しかたがないので、休業中のキャンプ場に忍び込みテントを張った。水場の蛇口が使えたのは幸いだった。
ひょうが止んだ後の天気は回復に向かった。太陽も見え始めた。霧掛かった空気をやわらかに照らしていく。湖の対岸には特徴的な山頂の恵庭岳が見える。
その後、支笏湖温泉に向かった。樽前から支笏湖温泉は数キロの距離がある。しかも、地味にアップダウンがあった。苦労して移動したのだが、支笏湖温泉は日帰り入浴の時間が短い。すべての施設が15時までの営業だった。釈然としない気分で元来たアップダウンを戻った。
まったくもってこの日は、踏んだり蹴ったりである。
夜中、テントの外に何かの気配を感じた。人ではない。何かの獣のようだった。「フガッ、フガッ」と鼻息のような音を鳴らしながら、テントの周りを2,3周した後、どこかへ去って行った。息を潜めてその様子をテント内から探っていた。熊だったらやばかったが、鼻息から察するに猪だったと思う。
支笏湖から札幌
翌朝、天候は完全に回復した。昨日とは打って変わって、湖面は青く冴え渡っている。この日は札幌まで。支笏湖からきつい登りの峠を越える。
札幌はやはり他の北海道の都市とは一線を画す。規模が段違いだ。翌日は、札幌に住む友人に会う予定である。