札幌から中山峠を経由して洞爺湖までは、国道230号線を通って約100キロメートルある。過去の旅において、このルートは2回通ったことがある。2004年9月1日と2019年4月28日である。
中山峠までの道
札幌の市街を過ぎると早くも登り坂は始まる。最初は、大したことのない勾配だが徐々に厳しさを増して行く。交通量も少なくないので注意が必要である。
定山渓温泉を過ぎると完全に峠道である。山々の中をどんどん高度を上げていく。空が近く、付近の山の端が美しい。
実は2004年に通ったときは、周囲は深い霧に覆われていて何も展望できなかった。そのため、中山峠はつらい記憶が強かった。実に15年振りに同じ道を行ったのだが、中山峠がこんなにも素晴らしい峠であったとは思わなかった。旅において天候はやはり重要な要素だ。天候によって受ける印象が全く異なることがある。悩ましいところは、霧の中山峠もどこか神秘的で魅力があり、晴れの中山峠も爽快で気分が良く、甲乙付けるのは難しいところである。
羊蹄山
峠の頂上には道の駅がある。ここの名物は”あげいも”。これを求めて長蛇の列ができていた。
峠からは羊蹄山が望める。羊蹄山は別名「蝦夷富士」とも呼ばれる。きれいな円錐形の羊蹄山は本当に富士山そっくりである。日本各地に「○○富士」というようないわゆる郷土富士があるが、羊蹄山はもっとも富士山の見た目に近いように思う。
洞爺湖まで何度か羊蹄山を見ながら進む。その存在感はまさに東海道における富士山である。
洞爺湖
洞爺湖には夕方に着いた。峠越えを含む100キロの道のりは身体に堪えた。湖畔のキャンプ場にテントを張り、すぐに温泉に向かった。
洞爺湖では、「ロングラン花火大会」が開催されている。これは、4月末から10月末まで毎日(!)、1日当たり450発の花火が打ち上げられる。打ち上げられるのは、キャンプ場の対岸の洞爺湖町になるので、やや遠目に見物することになる。20時45分から約15分間、短い時間ではあったが、夜空を彩っていた。