突然の連絡
2004年8月16日、朝早くコンビニを目指した。昨日は意図せぬ野宿だったので、食料がなかった。しかも、風呂に入っていない。
運のよいことに、この近くにある「道の駅かみゆうべつ温泉」には、午前中から入れる浴場があるらしい。迷わずそこに向かった。温泉は10時からとのことで、まだ時間があり、道の駅で待つことにした。
待っているときに、実家から電話があった。大学の講義で出席日数が足らず、単位が取れそうにないのがあるが、追加レポートを提出すれば単位をくれるという連絡があったらしい。英語の講義だった。確かに、退屈に感じる講義で途中からさぼっていた。単位も、後でTOEICで取れば良いと考えていた。
講義の内容は、英語の書籍を読んできて持ち回りで日本語訳を説明するというものだった。後から聞いたことだが、期末テストもレポートの提出もなかったそうだ。今回の追加レポートは、その本の感想文を日本語で書くといったものだった。
遠い夜明け
本の内容は、アパルトヘイト時代の南アフリカ共和国が舞台の話だった。タイトルは「Cry freedom」という。実話に基づいており、ある白人ジャーナリストと、黒人で反アパルトヘイトのリーダー的存在のスティーブ・ビコとの交友を描いている。「遠い夜明け」という邦題で映画も公開されている。さぼっていたのにやけに詳しいと思われるかもしれないが、私は、講義はさぼっていたが、書籍は読んでいたのだ。旅先で本は手元にないが、感想文を書くのにさほど苦労はしないと、このときは思った。
温泉が開く前に、コンビニでレポート用紙と封筒を購入し、入浴後に取りかかった。ところが、いざはじめてみると、結構覚えていない。ビコが暗殺され、白人ジャーナリスト(実はこの人物の名前も思い出せなかった)が独自に調査を進めるのだが、当局の妨害を受けて・・・最後はどうなるんだっけといった具合だった。レポートに何を書いたのか記憶にないが、たぶん当たり障りのないことを書いたのだと思う。
レポートを書き終え、指定された宛先に郵送したのは、午後になってからである。それからようやく走り始めたが、昨日の疲労が抜けていない。仕方ないので、この日はのんびり行くことにした。上湧別から距離にして16キロメートルの遠軽のキャンプ場で宿泊した。
オホーツクとの別れ
この遠軽から内陸は、オホーツク管内ではない。オホーツクは、海と山と湖、いずれも最高に素晴らしい土地であった。明日からは、内陸の山々の中を進む。少々名残惜しいが、まだ旅は続く。明日以降訪れるところが、さらに素晴らしいところであることを願って眠りに就いた。