zillagodのブログ

国内旅日記 ~自転車旅・登山・徒歩旅行~

摩周湖・屈斜路湖 静と動の火山帯

 話は2004年に戻る。

 

釧路から弟子屈

 2004年8月10日、釧路を出発し道道53号線を北上する。この道、地図上では釧路湿原の中を通っているように思えたのだが、残念なことに湿原は全く見えなかった。

 道道は緩やかな丘陵を走り、摩周の市街地に降りる。この日は、弟子屈のキャンプ場で一泊した。

 翌8月11日、摩周湖屈斜路湖を訪れた。

 

霧の摩周湖

 摩周湖は、周囲19.8キロメートルのカルデラ湖だが、いわゆる浜辺がない。湖岸は切り立っていて、ぽっかりとした穴のような窪みに水がたまったような地形をしている。この湖には、注ぐ川も流れ出る川もない。かなり特異な湖だ。

 ちなみに、河川法という法律の上では、こうした川がないものは、湖に分類されないという。ただの巨大な水たまりであるらしい。

 

 摩周湖は透明度が高く、かつてはバイカル湖を抜いて世界一だったという記録も残っている。しかし、徐々に透明度は下がりつつある状態らしい。地震の影響とも、外来魚の放流のためとも言われているが、はっきりしていない。ただし、透明度は今でも世界有数で、展望台から見た湖面は、鮮やかなブルーに輝いて見えるらしい。

 「らしい」と書いたのは、私が行ったときは霧がひどく、全く湖は見えなかったからである。摩周湖は霧が多いことで有名で、「霧の摩周湖」などと言われたりもする。霧がわずかで、うっすらと湖が見えでもしていたら、神秘的であったかもしれない。しかし、この日はそんなレベルの霧ではなかった。 

 霧だけでなく、成り立ちや透明度の件など、いろいろなことがもやもやしている湖で、こっちまでもやもやした気分になってくる。

 

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霧の摩周湖

屈斜路湖 日本最大のカルデラ

 摩周湖の西には、同じくカルデラ湖の屈斜路湖がある。このカルデラ湖は、南北に20キロメートルに渡っており、規模としては日本最大である。何万年もの太古に、破局噴火を起こしたとされている。

 こちらは、霧はかかっておらず、雄大な湖を眺望できた。湖面は静かで、太古の大噴火など微塵も想像できない。

 

アトサヌプリ 活動中の火山

 摩周湖屈斜路湖とも、付近に多くの温泉が湧いてはいるものの、静かなところで、今では火山の気配はない。しかし、この一帯がかつて活発な火山帯だったことを思わせる場所がある。摩周湖屈斜路湖の間に位置するアトサヌプリだ。アトサヌプリとは、アイヌ語で「裸の山」を意味する。別名、「硫黄山」とも言われる。その名の通り、木々はなく、黄色い山肌から硫化水素が常に噴出している。周囲の2湖とはまるで違う様相で、ここだけ別世界のようである。

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黄山 

 この日は、屈斜路湖の南岸の和琴半島にある野営場に泊まった。近くには、露天温泉があり、無料で入浴できるが、洗い場はなく湯は熱い。明日は早朝に美幌峠に上る。書き忘れたが、摩周湖屈斜路湖の周辺の道はアップダウンが頻繁に繰り返し、自転車では結構疲労が蓄積する。明日の峠越えに備えて早めに就寝した。