zillagodのブログ

国内旅日記 ~自転車旅・登山・徒歩旅行~

根室から釧路 霧の海岸

花咲の奇岩

 根室を出発し、半島南側の海に面した道を西に向かった。程なくして花咲に着いた。花咲岬が南に突き出ており、岬の東側には花咲漁港がある。ここは花咲カニの漁獲で有名だ。当時は学生だったので高価なカニには手が出せなかったが。

 花咲岬の先端には、奇妙な岩石がある。「根室車石」と呼ばれ、車輪のように中心から放射状に岩が配置され、扇形の断面をしている。どのようにして形成されたのか、素人には全く分からない。

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車石

海岸沿いの道

 この周辺の海岸は岩場ばかりで起伏に富んでいる。そのため、道路もアップダウンを繰り返す。自転車にはきつい。日が昇り気温も上昇していて、汗が吹き出てくる。二日間、風呂に入っていないので相当汗くさく、不快だった。

 しばらく海岸沿いを進むが、道は一旦少し内陸を通る。昨日乗った根室本線に沿った道道142号を進む。民家は見当たらない。背の低い木々が湿原の中に生えているだけである。昨日感じた広い暗闇が納得できた。そんな道なので、ただひたすら走るだけだ。北海道ではこのような道路が非常に多い。ただし、ここはまだ序の口だ。これ以降、もっと長く、いつまでも景色が変わらない道路に出くわすことになるが、このときはまだ知る由もない。

 10キロメートル程、根室本線と並行していたが、そこから先は再び海岸沿いに出る。再びアップダウンの激しい道が続く。崖下から、波が岩にぶつかる音が周期的に響いてくる。すでに午後遅くなっていて、雲が広がっていた。さらに、昨日のような薄い霧もかかり始めている。この地は霧が多い。この付近の海は、寒流と暖流が交じる領域で、南の暖流で暖められて湿った空気が風に乗り北上し、寒流で急激に冷やされるためである。霧のため、この時期の平均日照時間は、国内で最も短いという。

 この日の到着地点は霧多布岬のキャンプ場である。この地の特徴そのままの地名である。岬には、「霧多布温泉ゆうゆ」が営業していて、実に三日ぶりの入浴を堪能した。

糸魚沢林道

 翌8月9日、釧路へ向かう。海岸沿いの道は高低が激しく、体力を激しく消耗することは、昨日学習した。この日、最初は海沿いの道道142号線を行った。だが、いったい何を考えていたのか、今となってはもう分からないが、途中でダート林道に入った。糸魚沢林道というところで、距離は約16キロメートルで、道道142号線と内陸の国道44号線に出る。

 ダートをマウンテンバイクで走るのは実に楽しい。このときも最初はそう思っていた。しかし、林道の後半は散々だった。まず、途中で財布を落としていることに気がつき、数キロメートル引き返した。さらには、タイヤへの負荷が相当大きかったのか、終盤でパンクしてしまった。自転車の旅で、パンク自体は珍しいトラブルではない。ただ、場所が悪かった。パンク修理をしていると、すぐに虻の大群に囲まれ、何ヵ所か刺された。虻に刺されたことがあればよくわかるが、結構痛い。そして刺された痕が長く残る。虻を払いながらやっとの思いで修理を終え、ほうほうのていで林道を脱出した。

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糸魚沢林道(これは林道出口付近を撮影したもの)

釧路到着

 結局、釧路に着いたのは日が暮れてからだった。市内にキャンプ場はなく、適当な草地を見つけて野宿をした。野宿をしたなどと軽く書いたが、最近はこうした行為はできるだけ控えるべきと思う。最悪の場合、近くの住民に通報されることもある。