鈍行列車の旅
2004年8月6日、始発列車で千葉を出発した。自転車は輪行で運び、その他、キャンプ用品などを抱えて、列車に乗り込んだ。北海道までは鈍行列車で向かう計画で、明日の夜に根室に到着する予定だ。朝なのに蒸し暑い。しかし、この蒸し暑さが逆に、これから始まる北国の旅の期待値を大きくしていた。
日が落ちた後に青森に到着した。ここから夜間急行に乗り、朝には札幌に着く。身体を横にすることができないので、浅い眠りと覚醒を繰り返していたが、明け方に列車の窓越しに見えた朝日を良く覚えている。オレンジ色の朝焼けが眩しかった。外の気温は分からないが、旅の期待値はMAXだ。札幌で列車を降りると、その期待が正しかったことが分かった。昨日までとは、空気が明らかに違う。湿度は低く、皮膚を焼くような日差しはない。さらに列車で東に向かう。
昨夜、眠りが浅かったこともあり、日中はほとんどうつらうつらしていた。車窓からの景色は全くといってよいほど記憶にない。日が暮れたのは釧路を過ぎた辺りと記憶している。窓の向こうは暗闇で、人が住む気配はない。ただ、広大に暗闇の空間が広がっているように感じた。
二日間列車に揺られ、さすがに疲労もピークに達していた。ここまで輪行してきたのだが、自転車に加えてキャンプ用品を満載した荷物は重く、ただ空荷で列車に揺られるよりも、かなり疲れる。
旅の装備
ここで、装備を一通り記しておく。前後キャリアを搭載したマウンテンバイク。ただし、フロントキャリアはVブレーキ台座に取り付ける簡易的なもので、荷物を多く積むことはできない。ここにはシュラフ、マットを積んだ。リアキャリアにはドイター製の大型のサイドバックを取付けている。キャンプ用品と5日分のTシャツ、下着類などの着替え、雨具、スペアチューブや携帯工具などを詰め込んだ。キャリア上部にはテントを積むが、四人用で少々重い。後に大学のサイクリングサークルの合宿と合流するためだ。
根室到着
根室に到着したのは、夜9時頃だったと思う。人通りはとうになく、薄く霧が出ていて余計に静けさを増していた。半袖では少々冷えるくらいだ。
荷物が多いと、駅に着いたからといってすぐには出発できない。自転車の組み立てや荷物のパッキングなどこなさなくてはならない。昨日は風呂に入っていないので、体中が不快だった。そのため動きは緩慢で、荷物の準備に30分程要した。
この日も風呂に入れなかった。根室市の郊外の根室市キャンプ場までまっすぐ向かった。このキャンプ場は根室市の公設キャンプ場だったのだが、2005年に休止、2015年に廃止となっている。疲れを癒すためもあり、テントを張ってすぐに寝た。